猫さんがかかりやすい病気
子猫時代から風邪ひとつひかず、ご長寿お爺ニャン、お婆ニャンになり、家族に見守られながら、幸せに天寿を全うする...。
本当は、全ての猫さんに、そうあってほしい。
でも、猫さんには、さまざまなかかりやすい病気があります。当然、発見が遅ければ遅いほど、病状は深刻になりますので、ママパパが異変に気づいてあげられることが、「早期発見」「早期治療」の第一歩です。
ここでは、猫さんがとくにかかりやすい病気をピックアップします。
※このページを作るにあたって、いくつかの資料を参照しましたが、ベネッセ「ねこのきもち」2006年6月号掲載の『猫がなりやすい5つの病気』という特集が、大変わかりやすくまとめられていましたので、そちらを中心にリライトさせていただきました。
尿石症・膀胱炎・尿総閉塞(猫下部尿路疾患 FLUTD)
◎尿石症◎
尿中に結石や結晶がつくられてしまい、それが下部泌尿器(特に膀胱と尿道)に障害を起こす病気。
猫に多い結石・結晶は、リン酸アンモニウムマグネシウム(ストラバイト)。
尿がアルカリ性に傾きやすい体質の猫が、マグネシウムの多い食事を食べていると、発症しやすい。
治療法 結石や結晶を解かす療法食を、一定期間あたえる。 症状が改善した後は、再発予防のためにマグネシウムを抑えた療法食を与える。 結石や結晶の状態によっては、尿道口からカテーテルを入れ、膀胱や尿道を洗浄する。 |
◎膀胱炎◎
便中にいる細菌などが、尿道を伝って膀胱へ侵入。膀胱の粘膜に細菌が感染し、炎症を起こす。
尿石症(膀胱結石)の猫は、膀胱粘膜が傷ついているため、とくに感染しやすい。
女の子は、尿道の構造上男の子より感染しやすい傾向がある。
治療法 抗生物質の治療が一般的 治ったように見えても、再発しやすいので注意が必要 |
◎尿道閉塞◎
尿中にできた結石や結晶が完全に尿道をふさいでしまい、尿を全く排泄できなくなる。
この状態が数時間続くと、腎臓の機能が突然低下する「急性腎不全」に。
さらに、尿中の有害物質が全身にまわる「尿毒症」になると命の危険。
治療法 尿毒症を回避するため、緊急に尿を体外に出す必要がある カテーテルで結石や結晶を押し戻すなどをして、うまくいかない場合は、緊急手術も |
■■こんな症状を見逃すな■■ ◎尿石症・膀胱炎 ・頻尿 ・血尿 ・トイレ以外の場所でオシッコをする ・オシッコが異常に臭い ◎尿道閉塞 ・オシッコがまったく出ない (オシッコをしたそうな様子でトイレに行き、オシッコのポーズをしても出ない。この状態を24時間以上放置すると命の危険)
■■ママパパ普段の心がけ■■ |
呼吸器感染症(猫ウイルス性鼻気管炎・カリシウイルス感染症)
猫ウイルス性鼻気管炎とカリシウイルス感染症は、どちらもカゼ症状をおこすウイルス感染症。これらを区別せず「猫カゼ」と呼ぶこともある。
どちらも感染力のあるウイルスだが、ワクチンでほぼ予防できる。
※過去に一度でも猫ウイルス性鼻気管炎にかかったことがある猫は、新たに感染しなくても、再び症状が出ることがある。
強いストレスや、急激な冷え込みなどによる免疫力の低下が、発症の引き金となる。
免疫力の弱い子猫、老猫、持病をもっている猫などは、重症になる可能性が高いので、とくに注意が必要。
治療法 ウイルスそのものをたたく治療法はない ウイルスに打ち勝つことができるのは、猫がもつ免疫力のみ 基本は充分な栄養と睡眠。症状にあわせて、インターフェロン、抗生物質、ビタミン剤投与 |
■■こんな症状を見逃すな■■ ・涙目 ・多量の目やに ・くしゃみ ・鼻水 重症になると発熱や食欲不振がみられる 他の感染症や肝機能障害などの病気を併発することもある
■■ママパパ普段の心がけ■■ |
慢性腎不全
腎不全とは腎臓の組織が壊れ、その機能を75%以上失った状態のこと。
原因は様々だが、とくに原因の突き止めず治療するのが一般的。
腎臓がうまく機能しないと、老廃物がふたたび血流にのって全身をめぐる。
腎臓がまったく機能しなくなると、尿がつくられなくなって尿毒症になり、命の危険。
5〜6才以上の猫は、ほとんどが腎不全を患っているといわれ、慢性腎不全は猫の死因の中で最も多い病気。
治療法 いったん損なわれた腎臓の組織は二度と回復しない 進行を完全に食い止めることはできない よって、治療は少しでも進行を遅らせ、尿毒症にさせないこと 具体的には、点滴と、たんぱく質を制限した療法食 |
■■こんな症状を見逃すな■■ ・多飲、多尿 ・やせる 重症になると、脱水・貧血・口内炎・腸炎・膀胱炎などを併発 末期には痙攣発作・頻繁な嘔吐・オシッコが出ないなどの尿毒症の症状
■■ママパパ普段の心がけ■■ |
糖尿病
本来体に必要なはずの糖をうまく取り込めず、尿中に排泄してしまう病気。
食後に血糖値が上がると、通常は膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが糖を細胞内に取り込む働きをするが、それがうまく作用しない状態。
この糖を体外に出すために、たくさんの尿を排出しようとし、それに伴って飲水量が増える。
治療法 療法食とインスリン注射が一般的 (インスリン注射は、獣医師の指導のもと、毎日飼い主が行う) ただ、猫はインスリン注射による血糖値コントロールが難しく、安定しない場合もある その間に他の臓器に負担がかかると、合併症をひきおこすこともある まれに、低血糖(ぐったりする、痙攣をおこす)を起こす場合もあるので、あらかじめ、獣医師に対処法の指導をうけておくことが必要 |
■■こんな症状を見逃すな■■ ・多飲、多尿 ・初期は多食、進行すると食欲不振 初期に多食になる猫とならない猫がいるが、たいてい元気はある 進行すると食欲も元気もなくなり、ぐったりする場合も 腎不全や合併症を引き起こしやすい
■■ママパパ普段の心がけ■■ |
甲状腺機能亢進症
多くは10才以上の猫が発症しやすい。
甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが、過剰に分泌され、新陳代謝が異常に活発になり、呼吸数や心拍数が上がり、多食になる。
心臓に大きな負担がかかるので、さまざまな合併症が引き起こされ、進行すると食欲がなくなり衰弱する。
治療法 高齢の子が発症することが多いので、外科的治療よりも、薬で甲状腺ホルモンの分泌を抑える方法が一般的 この場合は、生涯にわたっての投薬となる 手術で甲状腺そのものを摘出する方法もある(その後は甲状腺ホルモン投与治療) |
■■こんな症状を見逃すな■■ ・多食 ・やせる ・活発になる 進行すると、心筋症、腎不全、網膜剥離などの合併症をひきおこすことも
■■ママパパ普段の心がけ■■ |