我が家とコロナウイルス[2]

我が家とコロナウイルス[2]

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ネココロナウイルスとFIPウイルスはたいへん解釈が難しいウイルスです。是非「ネココロナウイルスについて」全ページに目を通していただきますようお願いいたします。
また、インターキャットやビムロン、各種サプリメントの有効性については様々な意見があり、当サイトは、とくにその使用を皆さまに積極的に推奨するものではありません。

アイコン その次の夢

抗体価が200まで下がり(「100以下」まで下がれば陰性判定)、軟便がすっかり治ったことは、もちろんラピス自身の健康を守る上でも、最高に嬉しいことでしたが、私達にとっては、もう一つ、嬉しい希望となりました。それは、かねてから考えていた妹ニャンのお迎えが、実現できるかもしれないということです。

初めて家族となったラピスを通して、猫の魅力を知った私達は、いつからか、ラピスの遊び相手を迎えたいと思うようになっていました。でも、ラピスにとって、それが良いことなのかどうか...。相性が悪ければ、大きなストレスになってしまうだろうし、ストレスは、FIP発症の引き金と言われているので、抗体価の高いうちは絶対に避けなければと、これまでずっと自分たちを戒めてきました。

その一方で、小さい頃から、ユルいウンチを踏んだり、部屋に落とし物をおとしていかないようにと、ウンチの介添えまでしてきたせいか(;^-^A、「分離不安」と診断されるほど母べったりに育ってしまったラピスには、猫さん同志のコミュニティを作ってあげた方が、きっとのびのびした性格になってくれるだろうという期待もありました。

そして、もっと正直なことを言えば、心の奥底でFIPの恐怖を感じながらラピと過ごしてきた数ヶ月間は、一頭溺愛主義の怖さを同時に私達に教えました。かつて、愛兎の桃が急逝した時、私達を支えてくれたのは弟うさのりゅうです。りゅうが居なかったら、どうなっていたか....。

母達の卑怯な、そして身勝手な想いかもしれないけれど、私達みたいに心の弱い人間には、つねに、子供達(同じ種の)は複数いてくれることが、自分たちの精神状態を健全に保つことになるのだと思いました。

先生は、ウンチも食欲も元気も絶好調のラピスを見て、「抗体価100以下にこだわらなくても、もう次の子を迎えても大丈夫ですよ」と仰ってくださいました。が、やっと抗体価を下げたラピスにどんな妹を迎えればいいのか、そこにまた、高いハードルが待っていたのです。


アイコン 妹ニャンのお迎えのハードル

先生から言われた注意点は、次の通りでした。「ネココロナウイルスを持っている子が、猫白血病ウイルスや猫免疫不全(猫エイズ)ウイルスを同時に持っていると、FIPの発症率が高くなると言われているので、ラピスくんを守るためには、迎える子猫は猫白血病と猫免疫不全ウイルスが必ず陰性であること。逆に、子猫がラピスくんのコロナウイルスの影響を極力うけないためには、子猫自身が、栄養状態のよい(=免疫力の高い)健康な子猫であること。つまり、信頼できるブリーダーさんから、健康優良の子猫を迎えるのが望ましいですね」と。

もちろん、私達としても、ラピスの抗体価の経緯をご理解いただうえで、私達に子猫を委ねていただけるブリーダーさんを探さなくてはなりません。ビムロンでお世話になったブリーダーさんとは、タイミングが合わず、子猫のご縁はありませんでしたが、「コロナについてきちんと理解して、管理してるブリーダーを探すのは難しいかも」と言われました。そして、実際、そのとおりでした(><)。

とりあえず、私達は第一段階として、様々なソマリキャッテリーに、コロナウイルスについてどう対処しておられるかという問い合わせをしました(子猫とのご縁があって見学に行くことになった場合も想定し、関東〜東海までの地域で)。が、コロナのことを伺うと、途端に怪訝そうな声になる方もとても多かったです。

「コロナのことをいちいち聞くような人に猫を譲ると、後々面倒なんですよね」「ウチはFIPは出ていないんだから、それでいいでしょ」「抗体価って何ですか。測ったことはないからわかりません」「コロナが怖かったら猫を飼わない方がいいのでは」「ウチはコロナフリーキャッテリーですから、コロナはいませんよ」

もちろん、コロナウイルスに対してよく勉強され、しっかり猫達を管理されているブリーダーさんも少なくないと思いますが、たまたま私達が問い合わせをした先では、上のようなお返事をいただくことが多々ありました。「ウチは、コロナウイルスはいませんよ」という答えは一見、良いキャッテリーに思えますが、実はネココロナウイルスを正しく理解していない証拠です。

「信頼できるキャッテリーから健康優良子猫を迎える」ただそれだけのことのハードルの高さに、辟易した私達は、妹ニャンお迎えも諦めかかっていました。


アイコン 夢の実現

妹ニャンのお迎えを半ば諦めかけた頃。私達は、あるブログで、私達家族の運命を変える記事を見つけました。それは、日本を代表するソマリサイトの運営者(元ソマリブリーダーさん)が綴られているブログであり、その方の愛猫が、久しぶりにペアリングをしたという記事です。

その「元ブリーダーさん」が、猫の健康管理にたいへん厳しい方であることは、以前からホームページを通じて知っていました。その方の猫ちゃんは男の子なので、お嫁さん候補の居るキャッテリーに愛猫をしばらく預けて、そこで交配させるとのこと。そういう方が選んだキャッテリーならば、信頼できないはずがありません。そのブリードで生まれた子猫たちの健康状態はお墨付きといえる。私達はそう考えました。

そして、ご縁あって、その子猫のうちの一頭をお迎えすることができました。それがルナです。

ルナを迎える前には、ブリーダーさん(ルナを産んだ母猫のいるキャッテリーさん)に、ラピスの抗体価のことも聞いていただき、こちらからも、コロナウイルスについてのお考えを詳しく伺いました。その際、「子猫の抗体価はあてにならないから通常は測らないけれど、もしご心配なら、抗体価を調べてからお渡ししましょうか」というご提案もいただきましたが、私達は、その必要はないですとお伝えしました。

子猫の抗体価があてにならないことについては、私達も同じ認識を持っていましたし、「白血病と猫エイズが陰性で、栄養状態がよい健康な子猫」という条件をクリアしている今、大事なことは、私達が今後ラピスとルナの健康状態をいかに高く保てるか(ストレスをかけない、常に免疫力アップを意識する)だと思ったからです。

ラピスとルナは、すぐに仲良しになり、さらにルナを迎えて1ヶ月半後に測ったラピスの抗体価が「200」と安定していたのは、ルナの性格の良さによるところが大きいと、私達は思っています(親ばかです(>▽<;;)。妹を迎えたことが、ラピスにとって大きなストレスにはならなかったことを示す一つのデータとして、私達は、この数値をとても嬉しく受け止めました。


アイコン 初めての陰性判定

妹ニャンのお迎えは、我が家にとっては、とても良い形となりました。ラピスとルナは相性もよく、多頭飼いになったことで体調に変動をきたしたり、ウンチが崩れるということも、一切ありませんでした。猫コミュニティを持ったラピスは、以前にも増して心が豊かになったように見え、2ニャンは、本当に仲の良い兄妹になってくれました。

が、私達家族はその数ヶ月後に、東京から実家のある静岡に引っ越しをすることになりました。猫さんにとって、環境が変わることは、大きなストレスです(><)。引っ越し前後は、ビムロンを続けて与えるなどして、2ニャンの体調を管理し、一時は精神的にナーバスになってしまったラピスも、ルナの励ましで元気を取り戻してくれました。

幸い、引っ越し先でも信頼できる動物病院をすぐに見つけることができましたが、ネココロナウイルスに対してのスタンスは、東京時代の主治医とは少し違っていました。現主治医の方が、「コロナはあって当たり前」という考えが強く、特に体調に変化がない限り、抗体価を測ることは飼い主の精神的負担になるだけだから、やめた方がいいという考え。さらに、ネココロナウイルスの影響で多少体調に悪い影響がでた時は、インターフェロンよりも、抗生剤もしくはステロイドでコントロールしていくという方針です。

最初は戸惑いもありましたが、一般的な血液検査を含む健康診断もマメにしてくださいますし、今では、納得して先生に診ていただいています。先生とのお話では、総たんぱく値とグロブリン値に異常があった時だけ、抗体価も追加で測ることになっているのですが(一般検査は病院ですぐに結果が出るので、もし抗体価検査が必要な場合は、採血した残りを検査センターにまわす)、幸いラピスもルナも、その数値に異常が出たことはありません。

ただ、ラピスが吐き癖を繰り返し、微熱が出てしまった時の健康診断では、あえて、こちらからお願いして、最初から検査項目に抗体価を加えていただきました。これまで熱を出したことのない子なので、むしろ慣れ親しんだ??「軟便」よりも、「嘔吐&発熱」の方が心配だったのです。その時の結果は「200」で、総たんぱくもグロブリンも問題がなかったことから、ラピスの体内のコロナウイルスは安定した状態であり、熱や吐き癖の原因になっている可能性は低いとのことでした。(実際、体調はすぐに良くなりました)

その後、ラピスもルナも体調が安定していることもあり、ルナと同じキャッテリーから、ルナの異父妹にあたる女の子ルキアを迎えることになりました。子供達は、3ニャンになっても、相変わらず元気&仲良くやってくれています。ルキアお迎えから約3ヶ月後の、ラピスとルナのそれぞれの健康診断の際には、あえて抗体価も測っていただくことにしました。一般血液検査には何の問題もありませんでしたが、環境の変化が落ちついたこの時期だからこそ、子供達の、コロナウイルスの勢いを知っておいた方がいいと思ったからです。

結果はラピス、ルナともに「100以下」。ラピスにとっては、初めての陰性判定でした。


アイコン 意外な落とし穴

初めて測った抗体値が6400(MAX)だったラピス。約3年かけて、ようやく「100以下」にたどり着く事ができました。もちろん、この陰性判定を家族でお祝いしたことはいうまでもありませんが、長い間コロナウイルスとつきあったきた私達は、手放しに浮かれた気持ちにはなりませんでした。

なぜなら抗体価は変動します。抗体価検査は「0」は測れません。また、抗体の量とウイルスの量はイコールというわけでもありません。もし、ネココロナウイルスがわずかでも体内に残っていれば、たとえ今は抗体価検査で陰性判定でも、何かの折りに再びウイルスが活性化することはありえるのです。ただ、そのことを分かっていればこそ、今現在、陰性判定をもらえるくらいにネココロナウイルスを封じ込めている子供達の免疫力の強さを褒めてやりたいと思いました。

が...。私達の心にあった懸念は、その後現実のものとなってしまいました。

一番下のルキアが持っていたジアルジア(駆虫の大変やっかいな原虫の一種)が兄ラピスと姉ルナに感染し、何度も全頭駆虫を試みるも、ルナがジアルジアのシストを腸にためこみやすい体質であることや、3ニャンが互いにグルーミングし合うほど仲が良いことなどが影響し、なかなか完全駆虫することができず、それがもとで、ラピスはまた慢性軟便を再発してしまいました(このとき、ルナも軽度のIBDを発症しましたが、ルナの方はアレルギー処方食で改善)。また、ラピスはジアルジアの駆虫薬であるフラジール(メトロニダゾール)を長期に服用したことの副作用で、肝臓の数値が突然悪化してしまい、この時は約1年ぶりにコロナウイルス抗体値検査も受ける事になりました。

一度は陰性に下がった抗体値は、1600に上がっていました。肝臓の数値が悪化した時点で、ラピスの免疫力が落ちていると感じた私達にとって、それは予想していたことでしたが、やはりショックでした。何より、ラピスに申し訳なくてたまりませんでした。全ては母である私達の油断が招いたことです。ルキアを迎える際、健康面でほとんど問題が無かったルナと同じキャッテリーさんから迎えるという安心感もあり、隔離期間も設けず、そのまま3にゃんを合流させてしまったのです。

ルキアがキャッテリーさん側で健康診断も検便も受けていなかったことは、後になって知りました。もちろん、ジアルジアを持っていたルキアが悪いわけではなく、シストがなかなか落ちない体質のルナが悪いわけでもなく、まして、お腹の弱いラピスが悪いわけでもありません。ルナとルキアの出身キャッテリーさんの衛生状態が、以前より悪くなっていることを薄々察していながら、検便もせずに合流させてしまった私達の「無知」さが、最大の原因でした。寄生虫が、それほどやっかいなものだという認識が無かったのです。

幸い、肝機能を上げる薬や免疫力アップ系サプリメントの効果か、ラピスの肝臓の数値は順調に戻っていき、抗体価も1600→800→200→100以下と、再検査の度に下がり、再び陰性となりました。ただ、子猫時代の軟便は抗体価が下がるのと比例して治っていきましたが、ジアルジアで荒れてしまった腸は、子猫時代と同じようにはいかず、抗体価が陰性にまで下がっても、相変わらず軟便のままでした(むしろ私達にはその方がショックでした)。この時、ラピスの経過を全てご存知の東京時代の主治医に、「逆に、軟便が治らなくても抗体価を下げることができたのは素晴らしいことと思って、前に進みましょう」と励ましていただき、ラピスと私達は、はじめて抗体価の上下とは無関係の軟便治療に入っていくことになりました(※軟便治療は今も継続中。ジアルジアに関するコンテンツは現在準備中です)。


アイコン まとめ〜一番大切なこと〜

2008年10月。検査機関であるケーナインラボ社で「ネココロナウイルス遺伝子検査」の受付が始まりました。(関連記事は当サイト:「猫さんの最新医療2008」および、ブログ「ソマリらいふ.jp」:「FIPを正確に診断できる画期的な検査、受付はじまる」「ケーナインラボ社の「遺伝子検査」は名称が変更になりました」)

これまで主流だったネココロナウイルス抗体値検査が、ネココロナウイルス「抗体」の量を測るものだったのに対し、ネコ・コロナウイルス遺伝子検査は、「ネココロナウイルス」そのものを正確に測り、FIPを発症しているかどうかの診断につなげるものです。

これまで猫さんが抗体価検査を受けるような場面というのは、大きく分けると「FIP発症の疑いがある場合」と、「FIP発症の疑いはほぼ無いが、念のため健康診断的に測っておく場合」に分かれていたかと思います。が、実際にFIPを発症していても抗体価が低かったり、全く健康に問題がなくとも抗体価が高かったりというケースは数多くみられました。これは「抗体」が作られる、あるいは消えるのに“タイムラグ”があることや、ウイルスを保有していることと抗体を作る能力とは別物だと考えられるからです。今のところ、検査費用に大きな差があるのが唯一のネックかもしれませんが、おそらく今後は、曖昧な要素の多い「抗体価検査」に代わって、「ネココロナウイルス遺伝子検査」が主流になってくるのではないかと思います。

さらに、ケーナインラボ社の「FCoV数とコロナウイルス抗体価の相関」グラフを見れば、抗体価の数値とネココロナウイルス感染陽性には、相関関係が認められないことが分かります。つまり、抗体価が高ければネココロナウイルス陽性率が上がるというわけではないのです。それならば、抗体価検査には、いったいどんな意味があるのでしょう....。

ネココロナウイルスは、たいていの猫さんが持っているものです。が、たまたま何かの折りに測った愛猫の抗体値の数値が高ければ、その子のママやパパは心配で胸を痛めることになり、逆に抗体値検査を受けたことがないお家では、愛猫がネココロナウイルスを持っていることなど意識しないまま、心穏やかに日々を過ごすことができるでしょう。ですが、これは本当はおかしな話なのです。

FIP発症の疑いがあるのなら、今は、より正確な「ネココロナウイルス遺伝子検査」があります。また、抗体価の高い低いは、ネココロナウイルス陽性率とは相関関係がないことも分かって来ています。もし、抗体価検査を実施するのであれば、獣医師は、結果の数値のみをただ告げるのではなく、是非、この点を充分に飼い主に説明し、不必要な不安を与えないようにしていただきたいと思います。

そして、猫を家族とする者にとっては、抗体価を測ったことが有る無いに関わらず、数値の高い低いに関わらず、愛猫が常にストレスなく過ごし、高い免疫力を保てるように心がけてあげること。それが、一番大事なのではないでしょうか。もしも愛猫の抗体価が高いことが分かったら、それは、その子にとって一番良い日々の過ごし方を考え直す“チャンス”かもしれません。食事、衛生管理、遊びや運動、サプリメント、家族の態度...やれることはたくさんあるのです。

ネココロナウイルスの感染やFIPの発症を防ぐ薬は、残念ながら、まだありません。アメリカで市販されているワクチンも、有効性は100%ではないそうです。
FIPに予防薬や治療薬ができて、この病気で命を落とす猫さんがいなくなる日が、一日も早く来ることを願ってやみません。
今、FIPと闘っている子達と、そのママさんパパさんに、心からの応援を...。
そして、FIPで旅立った子達が、今は虹の橋で楽しく遊んでいますように...。

(2010/4/29 記)