猫さんの最新医療2008

猫さんの最新医療2008

アイコンねこのきもち」(発行所:株式会社ベネッセコーポレーション)2008年8月号の特集、「愛猫のために今できる最新医療」(監修:日本動物高度医療センター副院長・小川博之先生&日本臨床獣医学フォーラム代表および赤坂動物病院医療ディレクター・石田卓夫先生)には、いくつかの画期的な情報が掲載されていました。

例えば、◎多くの猫がかかりやすい慢性腎不全に、ACE(アンギオテンシン変換酵素)という薬が使われるようになったこと、◎猫のガン治療に、人に使われるのと同じ放射線治療装置「リニアック」を導入する医療施設が登場したこと、◎猫種特有の遺伝性疾患が、遺伝子診断で調べられるようになったこと、などなど。
(※これらの内容については、「ねこのきもち」8月号をご覧下さい)

その中の一つ、◎PCRという方法でFIPが正確に診断可能になったという項目に、管理人は注目しました。

ネココロナウイルスとFIPについては、当サイト「猫logy Life」でも、特に重きを置いているテーマですので、以下、このPCR法について、管理人が調べたことをまとめてみます。

※ネココロナウイルスとFIPをご存じでない方は、はじめに当サイトの「ネココロナウイルスについて」をご覧ください。



これまで、FIP判定の大きな要素であった、ネココロナウイルス「抗体価検査」では、それが害のないネココロナウイルスの抗体なのか、致死性の高いFIPウイルスの抗体なのか、区別がつきませんでした。“抗体”ではなく、直接“ウイルス”を検出する「PCR検査」は、実は以前から存在していましたが、そのPCR検査にしても、ネココロナウイルスとFIPウイルスの判別は難しいとされていました。

が、技術の進歩によって、最新のPCR検査法では、非常に正確にネココロナウイルスの量を測れるようになり、ネココロナウイルスとFIPウイルスが持っている性質の違いから、両者を判断できるようになったのです。(簡単にいうと、ネココロナウイルスは腸管とその付近のリンパ節までにしか広がらないのに対して、FIPウイルスは血液にのって全身をかけめぐる性質を持つ。そこで血液中のネココロナウイルス量を正確に測り、それが増殖していれば、それはFIPを発症するFIPウイルスであると診断できるという仕組み)

これがどういう意味を持つかというと、もちろん、ひとつには、FIPの早期発見・早期治療です。FIPは現在難治の病ですが、早いうちに的確な治療をはじめることで、延命に期待がかかります。

そして、もう一つの大きな意味は、愛猫のネココロナウイルス抗体価が高く、もしやFIPではないかと薄氷を踏む想いで暮らしているママパパにとって、PCR検査で陰性であれば、自分の猫が「現在FIPを発症してはいない」とはっきり診断され、不安から解放されるということなのです。

ネココロナウイルスは、ほとんどの猫が保有経験のあるウイルスです。抗体価の数値は変動するものであり、どの子にとっても、FIP発症のリスクは他人事ではありません。だからこそ、FIPが正確に診断できるようになったということは、全ての猫ママ猫パパにとって、そして繁殖に携わる方達にとっても、大きな意味を持つことだと思います。

※2008年7月現在 このPCR検査法によるFIPの診断を行っているのは、赤坂動物病院のみだそうです。記事中の、PCR検査法によるFIPウイルス診断の説明は、赤坂動物病院にお電話して、直接獣医師に伺いました。

*2008年10月28日より、検査機関ケーナインラボ社において、「ネコ・コロナウイルス遺伝子検査(旧:ネコ伝染性腹膜炎ウィルス遺伝子検査)」の受付が始まりました。これは、上のトピックスと同様の検査であり、すなわちFIPを正確に診断可能にするものです。かかりつけの病院から、ケーナインラボ社に検体を提出し、検査してもらうことができます。
詳しくはこちらのHPをご覧ください >>ケーナインラボ