ネココロナウイルスへの誤解

ネココロナウイルスへの誤解

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ネココロナウイルスとFIPウイルスはたいへん解釈が難しいウイルスです。是非「ネココロナウイルスについて」全ページに目を通していただきますようお願いいたします。
また、インターキャットやビムロン、各種サプリメントの有効性については様々な意見があり、当サイトは、とくにその使用を皆さまに積極的に推奨するものではありません。

アイコン ネココロナウイルスについては、感染経路やFIP発症のメカニズムが、100%解明されていないこともあり、様々な誤解を招きやすく、時には、それがママパパの心を傷つけたり、猫さんに関わる人間関係のトラブルに発展することさえあります。

ネココロナウイルスをめぐる誤解

下記は、実際にインターネット上で見かけた、あるいは私達の身近で起きた事例です。
医療従事者でもない私達が、「それはネココロナウイルスに対する誤解から生じているのでは...」などと解説するのは、本当におこがましいとは重々承知してます;;;。
が、こういったことで、苦しんでいる猫ママさん猫パパさんがとても多いことも知っていますので、少しでも心を痛めるママパパが減ってくれればと、あえて取り上げることにしました。
拙い表現もあるかと思いますので、何かお気づきの点がありましたら、ご指摘いただければ幸いですm(_ _)m。

アイコン とくに何の症状もない愛猫が、避妊去勢手術の際うけたネココロナウイルス抗体価検査で、抗体価が高かった。猫飼いの友人に話したら、「FIPなんじゃないの」と言われ、絶望的な気持になった。

「抗体価が高い=FIP発症」というのは誤解です。たしかにFIPを発症してしまった子の抗体価は、高い数値が出ることがほとんどですが、健康な子においては、抗体価が高いこととFIPの発症には、直接の関係はありません。(※ただし、何らかの症状が出ている場合には、抗体価の高さは要注意です。他の血液検査の結果もふまえ、獣医師の慎重な診断が求められます)

ネココロナウイルスの中には、FIPに突然変異しやすいタイプと、しないタイプがあり、抗体価が高くても、FIPを発症しないタイプのネココロナウイルスならばFIPの心配はないのです。逆に言えば、例え抗体価が低くても、それがFIPに突然変異しやすいタイプならば、FIP発症のリスクは当然あります。(猫の体内にあるウイルスが発症しやすいタイプか否かを見分ける検査法は現状ありませんが...)

ネココロナウイルスは、どの猫さんも一度は感染したことがあると考えて然るべきウイルスです。極端な言い方をすれば、どの子にとっても、FIP発症のリスクはゼロではないと言えるのです。たまたま抗体価を測って、数値が明らかになった子だけが、特別視されるのはおかしな風潮です。

ネココロナウイルスを過度に恐れる必要はありません。が、猫さんと暮らしている以上、それは他人事ではないのです。全てのママパパが、常に愛猫の健康管理に気を配ることが大切なのではないでしょうか。
アイコン 愛猫をFIPで亡くしてしまった。FIPの発症にはストレスが関与していると知り、自分の飼い方が悪かったのだと思うと、後悔で立ち直れない。

ネココロナウイルスがFIPウイルスに突然変異する条件の一つとして、ストレスが関与していると言われます。特に、「集団飼育のストレス」と言われていますが、一頭飼いであっても、FIPを発症してしまった子の例を、私は何度も見聞きしてきました。とても大切に可愛がられていた子達です。

「集団飼育の猫さんにFIPの発症率が高い」=「FIPを発症した猫さんが皆、集団飼育の(あるいは集団飼育に匹敵するような)ストレスを抱えていた」ということにはならないと思います。
不運にも、FIPに突然変異しやすいネココロナウイルスを体内に抱えてしまった場合、飼い主にはどうしようもないような、その子自身の体質や、なにかちょっとしたきっかけで、それが起こってしまっても不思議はないことです。
もし、大切に可愛がっていた猫さんが、FIPを発症してしまったとしたら....。それはもう、不運な事故に遭ってしまったと同じだと思います。ママパパがそのことでご自身を責めたら、ママパパのことを深く愛しているその子がきっと悲しむと思います....。
アイコン 明らかにFIPの症状が出て、愛猫が亡くなった。が、亡くなる数日前にうけた抗体価検査では100以下の“陰性”判定だったので、担当医は、「抗体価が低いから、FIPではなく、原因不明の病気だったのでしょう」と言っていた。

抗体価検査は、猫さんの体内の猫コロナウイルの量ではなく、ネココロナウイルスに対して作られた「抗体」の量を調べる検査です。FIPの症状が進んでしまった場合や、何か他の疾病が関与した場合に、その猫さんには、もうウイルスに対する「抗体」を作るだけの力が残っていないケースもあるのです。
FIPの末期に抗体を測ると、「陰性」レベルだったというケースは、少なくありません。そのこともふまえて、獣医師には慎重に診断をしていただきたいと思います。

猫さんが、もう亡くなってしまったとしても、その原因をきちんと診断していただくことは、大切なことだと思います。他の子達のために、あるいはこれからお迎えする子のために、飼い主が経験として学び、活かせることもあると思うからです。
アイコンお迎えしてまもない子猫のウンチがゆるく、抗体価を測ってみたら高かった。本ニャンは元気だったが、獣医から「FIPキャリア」と診断され絶望的になってしまった。子猫を迎えたキャッテリーともその件でトラブルになり、苦しんだが、結局バイオプシー(開腹による生検)をしてみたら、FIPではなくただのネココロナウイルス感染だった。

症状から、おそらく進行の緩やかなドライタイプのFIPを疑われたのだと思います。この事例の場合、抗体価が高い他にも、他の血液検査でいくつか基準値におさまらないものもあったのようなので、FIPの疑いがかかるのは、いたしかたないところだと思いますが、こちらの獣医さんのFIP判定は、比較的即断だったようです;;。
FIP(特にドライタイプのFIP)は、判定が非情に難しい症例も少なくありません。もし、診断内容に不安な点がある場合は、セカンドオピニオンを考えた方がいいかもしれません。
バイオプシーは、猫さんにとっては負担となる検査ですが、この子がFIPではないと判明したことは、本当に良かったと思います(*^-^*)。

*2008年8月1日追記*
従来、FIPは確定診断の難しい疾病でしたが、最新のPCRという検査法では、FIPを正確に診断できるようになりました。詳しくは「健康豆辞典:猫さんの最新医療2008 ネココロナウイルス・猫伝染性腹膜炎(FIP)」をご覧ください。
アイコン 「ウチの子猫はコロナウイルスフリーです」「ウチのキャッテリーにはコロナウイルスはいません」というブリーダーから子猫を迎えたが、数ヶ月後の健康診断でたまたま抗体価を測ったら、高かった。そのことでブリーダーと揉めてトラブルになった。

※もしかしたら、コロナウイルスをめぐる人間関係のトラブルの中で、このケースが一番多いかもしれません

個人的にですが、抗体価が陰性の猫さんを「コロナウイルスフリー」と呼ぶのは、とても誤解を招きやすいな〜;;と感じています。現在の抗体価検査では、「0」を測れません。実態として抗体が「0」であったとしても、抗体が10倍や20倍残っていたとしても、検査では同じ「100(倍)以下」です。つまり、「陰性」とはネココロナウイルスが体内に全く存在しないことを保障しているわけではありません。一度、陰性判定が出た子でも、また抗体価が上がることがあるのは、この為です。

「コロナウイルスフリー」と聞くと、いかにも、“コロナウイルスを全く保有していない”、“一生FIP発症の心配はない”と聞こえますが、この言葉は多くの場合、単に「陰性」ということを指しているか、あるいは使っている方が誤解して使っているか、どちらかです。

「猫が複数いる場所には、ネココロナウイルスは必ず居る」と言われているにもかかわらず、猫の繁殖をされている方々の中には「ウチにはネココロナウイルスはいませんよ」という方もいらっゃいます。が、よくよく話を聞けば、親猫の抗体価検査が1〜2度“陰性”だったことや、これまでにそのキャッテリーでFIPの子が1頭も出ていないことを「ネココロナウイルスがいない」と表現しているだけにすぎないことも多いのです。

誤解していただきたくないのは、「陰性」判定が無意味だと言っているワケではないのです。愛猫の抗体価検査で「陰性」をもらった猫ママ猫パパは、頭の中からFIPの心配を取り除き、胸をなで下ろしていいと思います。が、繁殖に携わる方々が、安易に「ネココロナウイルスフリー」「ネココロナウイルスはいない」という表現を使うのは、とても誤解を招きやすい(トラブルに繋がりやすい)傾向だと思わずにはいられません。

また、「ウチにはコロナウイルスはいません」などというブリーダーさんに限って、譲渡した子猫の抗体価が高いことが分かると、いとも簡単に「先住猫からコロナをうつされた」などと言われますが、その子猫自身がもともと保有していたネココロナウイルスが、たまたま環境の変化によって、活発になった可能性がないと、どうして言い切れるのでしょうか。

ネココロナウイルスが有るとか無いとか、どの子からうつされたとか、そんな結論の出ないことで、ブリーダーさんとオーナーさんが揉めるのはとても悲しいことです。それよりも、猫さんの繁殖に携わる方々には、子猫にストレスをかけないお迎えの仕方や、免疫力を高める猫さんの育て方などを、是非新しいオーナーさんに説明していただきたいと思います。