FIP(猫伝染性腹膜炎)

FIP(猫伝染性腹膜炎)

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ネココロナウイルスとFIPウイルスはたいへん解釈が難しいウイルスです。是非「ネココロナウイルスについて」全ページに目を通していただきますようお願いいたします。
また、インターキャットやビムロン、各種サプリメントの有効性については様々な意見があり、当サイトは、とくにその使用を皆さまに積極的に推奨するものではありません。

アイコン このページでは、FIP(猫伝染性腹膜炎)について、詳しく見ていきます。
FIPについては、いまだ解明されていない点もあり、それ故に誤解を招きやすい病気ですが、海外の最新の研究などを積極的に取り入れていらっしゃる専門家の記載、複数の開業獣医師のご意見、検査機関への直接の問い合わせなどを通じて、信憑性が高いと思われることを私達なりにまとめてみました。

※私達は医療従事者ではありませんので、こちらの記事は、あくまでも専門家による記載や口頭での表現のとりまとめ、及びリライトであることをご了承ください。専門用語の使い方などに誤りがありましたら、是非、ご指摘いただきますようお願い致しますm(_ _)m


FIP(猫伝染性腹膜炎)とは

ネココロナウイルス(FCoV)が、猫の体内で「猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)」に突然変異し、さらに、そこに免疫系の異常(ウイルスに対する猫自身のアレルギー反応)が起こると、発症すると考えられている。
このネココロナウイルスは、猫が複数居る場所には、必ず存在すると言われるが、その多くは、猫に対してほとんど病原性を示さず、腸管に感染する弱毒性の「ネココロナウイルス(FECV)」である。

ネココロナウイルス保有猫のうちFIPを発症する割合は、集団飼育などストレスの多い環境下で、最大10%程度といわれている。(このパーセンテージは出典によっても違うが、ストレスの少ない快適な環境下なら発症率は下がる)
FIPの症状

初期に、元気や食欲の減退、体重減少、39度以上の慢性の発熱がみられる。
腹水や胸水が溜まるウエットタイプ(滲出型)と、
神経・眼・腎臓・肝臓等が冒され体内に液体が留まらないドライタイプ(非滲出型)の2つがある

【ウェットタイプ】
痩せる、脱水症状、瞼・歯茎・パットなどに貧血状態が見られる。
肝障害が強い場合は強い黄疸を起こしたり、嘔吐や下痢を繰り返すことがある。
腹水がたまる。胸水がたまっていると運動するとすぐに息切れして呼吸困難になりやすい。

【ドライタイプ】
ウエットタイプほど特異的な症状がないため、FIPに起因するかどうかの判断が難しい。
ゆっくりと症状が進み、おなかの中にリンパ腫のような大きなしこりができる。
慢性的な体重減少、発熱、ぐったりするなどの症状が数週間続いた後、腎臓、肝臓障害、すい臓、中枢神経、あるいは目に異常が認められることがある。
眼球の震え、けいれんを起こしたり、脳神経および末梢神経障害、知覚過敏、頭が前部に傾く、いつもと違う行動をとるようになる、などの症状が見られる。

※ウエットやドライタイプの特徴的な病気を作らずに、眼が濁ってくる前ブドウ膜炎や、麻痺などの神経症状がみられる場合もある。
ネココロナウイルス抗体価(抗体値)検査

分かりやすく言えば、その猫がネココロナウイルスに感染しているかどうかを調べる検査。(※ウイルスではなく抗体を調べる検査なので、ウイルス自体が終息していても、抗体が残っている場合も考えられ、厳密には「その猫がネココロナウイルスに接触したことがあるかどうかを調べる検査」という方が正しい)

猫コロナウイルが猫の体内に入ると作られる「抗体」の量を調べる。
「FIP(ウイルス)抗体価検査」と呼ばれることも多いが、この呼び方は正確ではない。何故なら、この検査では猫の体内にあるのがFIPウイルスかネココロナウイルスか、判断できない。

検査機関によって、最小測定値、最大測定値が異なるが、一番多く行われているエイミスやアイデックスラボラトリーズの検査では、最小測定値「100以下(100倍以下とも言う)」は陰性とされる。
(※現在のところ抗体価検査では「0」は測れません。実態として抗体が0であったとしても、抗体が10倍や20倍あったとしても、検査では同じ「100倍以下」です。つまり、ここでいう「陰性」とはネココロナウイルスが体内に全く存在しないことを保障する意味での「陰性」ではありません。
「400倍」より低ければ、“安全圏”という意味で「陰性」と呼ぶ検査機関もあるようです。)

なお、最大測定値に関しては、検査機関によって、6400、12800、25600、51200、102400などがある。例えば、最大値6400の検査機関で検査を受けた場合には、実態としての抗体価が6400倍であっても、100000倍であっても、同じ「6400」という判定になる。

抗体価検査の数値は一定ではなく、猫の体調やちょっとしたストレス等でも変動しやすい。一度100以下が出ても、測る時期によっては、それ以上になる場合もある。子猫の抗体価は特に変動しやすく、あまりあてにならないと言われる。

FIPの症状がない場合には、抗体価検査で高い数値が出ても、再検査で下がっていればまず心配はない。が、高い数値からなかなか下がらない、あるいは上昇し続けた時は、注意が必要。
抗体価とFIP判定

(1)FIPの症状がない+抗体価が低い→現在FIP発症の心配はない
(2)FIPの症状が明らかにでている+抗体価が高い→FIP発症と診断される可能性が高い

判断が難しいとされるのは以下のケース
(3)FIPの症状がない+抗体価が高い
(4)FIPの症状が明らかに出ている+抗体価が低い
この場合、全身症状や他の血液検査の数値(特に重視されるのは、総蛋白、グロブリン、γーGTP等)、腹水や胸水があればその検査、などを付き合わせ、獣医が総合的に判断する。
FIPの末期には、抗体価が100以下になることもある(猫さんに、抗体を作れるだけの体力が残っていないと考えられる)。
FIPの判定に最も有効なのは、試験的開腹を伴うバイオプシー(生検)と言われるが、猫への負担は大きい。

※我が家のラピスの子猫時代の症状は(3)にあたります。発育状態もきわめて良好で、他の血液検査の数値に全く異常がなかったことから、軟便はFIPではなく、ネココロナウイルスによるものと診断されました。現在では、抗体価も陰性(100以下)に下がっています。

*2008年8月1日追記*
従来、FIPは確定診断の難しい疾病でしたが、最新のPCRという検査法では、FIPを正確に診断できるようになりました。詳しくは「健康豆辞典:猫さんの最新医療2008 ネココロナウイルス・猫伝染性腹膜炎(FIP)」をご覧ください。
FIPの治療

完治させるための有効治療は現在のところ発見されておらず、発病についてのメカニズムが解明されていないので、対症療法が主体となる。
猫にとって快適な環境を与え、症状緩和と延命をはかることが大切。
具体的には、ステロイド抗生物質の投与による苦痛の緩和と延命が一般的。

免疫力を上げるという意味で、インターフェロン(注射で投与するインターキャットと、副作用の心配のない、経口投与のビムロンがある)の投与や、あるいは、東洋医学の鍼灸、ハーブ・プロポリス・初乳・アガリスク等の民間療法で症状が改善したケースもあるが、有効性は立証はされていない。
(※獣医師によっては、インターキャットを通常の100倍投与するという治療法もあるようです)
FIPの予防

ネココロナウイルス自体への感染を完全に防ぐのは、非情に難しいとされる(>>「ネココロナウイルスの感染経路」)

ネココロナウイルスがFIPに突然変異しやすい条件として、ストレスの多い生育環境にあったり、猫白血病ウイルス感染症(FeLV)、猫免疫不全ウイルス感染症(FIV・いわゆる猫エイズ)に感染して免疫系のバランスが崩れた猫に発症しやすいといわれる。
つまり、この二つを避けること=「完全室内飼いによってFeLVやFIVウイルスへの接触を防ぐ。快適な飼育環境を確立し、猫の自己免疫力を高める」ことが、FIP発症の予防となる。
※FIPについては、まだ100%解明されていない点も多く、獣医師や専門家によっても、表現が異なる点があります

以上がFIPという病気の概要です。
確かに、FIPは致死率の高い難治の病ではありますが、発症した子の中にも、生還した猫さんが皆無というわけではありません。今、FIPの治療を頑張っている子達が、1頭でも多く、元気を取り戻してくれますように...。

現在、米国ではワクチンが市販されていますが、その有効性はまだ十分に確立されていないようです。一日も早く、FIPが予防できる病気になる日を願ってやみません。



※「我が家とコロナウイルス」でも書きましたが、愛猫ラピスのネココロナウイルス治療には、経口インターフェロン「ビムロン」がとても有効だったという実感があります。ネココロナウイルスに対する医学的な有効性の立証はなされていなくても、お友ニャンの中にもビムロンを使って、抗体価が確実に下がった子達が少なくありません。FIPとネココロナウイルスでは、効き方もまた違うとは思いますが、一応書き添えておきます。